《MUMEI》
.
ジンとリツは振り返った
「………」
「すげ…」
フルアの左腕に現れたのは
赤燈の艶々とした、
美しい羽毛を持つ
鳥
口には、澄んだ淡蒼の水晶
綺麗な球形だった
[美しいだろう?]
フルアは笑んで
左腕を体の前に戻し
右手で鳥の首の辺りを柔らかに掻いた
先ほどジンが使った弓の三分の一ほどはあるその鳥は
気持ち良さそうに瞼を伏せた
[これはフェニックスだ。今まで旅立った候補生たち、皆を見守って来た。…それから]
フルアはフェニックスから水晶を受け取り、
リツに放った
フェニックスは腕から飛び立ち
「!」
ジンの左肩に止まった
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