《MUMEI》 . 腹の底からふつふつと沸き起こってくる烈しい感情に、わたしは身を任せ、 強い口調で、尚に言った。 「勝手なこと、言わないでよ。終わったって、なに?尚が終わりにしたんでしょ?逃げたんでしょ?」 話しながら、視界が涙で滲み出した。わたしはまた鼻水をすすった。 「わたしはどうすればいいの?あの日から、わたし、ずっと」 そこまで言ったとき、尚は、やめろ、とピシャリと呟いた。全てを拒絶するような、冷たい声だった。 わたしが黙るのと入れ代わりに、尚が言った。 『あの頃は、俺もガキだった。自分のわがままでお前を振り回して、悪かったと思ってるよ。でも…』 そこで、一瞬、尚は言葉を途切らせた。わたしは携帯を強く握り、でも、なに?と先を促す。 尚は少し間を置いて、それから決意したように、言い放った。 『俺は、お前の気持ちに、もう答えられない。終わったんだよ。ずいぶんまえに』 頭を、思い切り殴られたような、衝撃を受けた。奥歯が、ガチガチと鳴る。震えが止まらない。 . 前へ |次へ |
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