《MUMEI》 . −−−終わってしまった。 8年間の全部が、 わたしの、尚への想いが、 全部、終わってしまったのだ…。 泣き濡れるわたしの目の前の街路樹が、一斉にライトアップされた。涙を流しながら、その光を見上げる。 冷たいブルーのイルミネーション。 そういえば、ここは今のシーズン、夕方5時になると、クリスマスのイルミネーションが店頭すると、だれかが言っていた。 遊歩道を歩く、カップルたちはその光に魅了されたように、眩しい笑顔を浮かべた。 「きれいだねー」 「ホント、毎年すげーよなぁ」 イルミネーションを見上げて、カップルたちは肩を寄せ合い、わたしのまえを通りすぎていく。 −−−そのほほ笑ましい姿に、 どうしても、わたしと尚の姿は重ねられなかった。 彼らと、わたしの居るところは、ほんの目の前のはずなのに、 手を伸ばせば、届くところであるはずなのに…。 幻想的な、ブルーの輝きのもとで、 わたしはひっそりと、泣いた。 ****** 前へ |次へ |
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