《MUMEI》

乙矢の家、つまりはきいさん(乙矢溺愛)の家だ。


「おかえりなたい〜。
二郎君久しぶりなのに変わってない、てか高校生のままなんだけど。」

きいさんこと、宗方是清さんと俺はたまに飲みに行く程の友達だ。
と、言っても俺が酒の席に呼ばれては自慢の一発芸を披露するのだが。

きいさんは四十で加齢臭を気にしているが、清潔感があり、大人の色香(本人談)の漂う美人だ。


「あ、そうだ。
七生君、この間のミンミンゼミ教えて!」

だが、
基本は俺と同じ属性だ(乙矢談)。


「あ、そうだ、宗方さんにお土産です。欲しがっていた英字新聞とこれは絵本です。」

愛しい二郎はそういうとこ律儀だ……。
俺なんて人の家上がり込んでおいて手ぶらなのに。


「うわー、ありがと!
さあさあ、上がって上がって、今日はモツ鍋パーチーだよ〜」

そういえば、何故か二郎だけ遠慮して玄関だ。
俺なんてもうリビングの方まで入り込んでいるのに、……モツ鍋のせいだから、仕方ない。

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