《MUMEI》 . −−−ねぇ、 分かってるの? わたしは、あなたを利用したんだよ? 自分の、消化しきれない、 醜い欲望のために。 どうやっても、結ばれない、 尚の、身代わりに。 −−−それでも、 あなたがわたしの傍に、いてくれたなら、 もう一度、 歩き出せるかな? ………もう一度、 まえを見すえて、 他のひとたちと…尚と同じように、 自分の足で、 ちゃんと、立ち上がれるのかな………? ****** ホテルから出たときには、すでに朝日が登り、空が白んでいて、 あの、凍てつくような夜の暗闇は、消え去っていた。 わたしと彼は手をつないで、ゆっくり駅まで歩いた。 −−−今は冬で、 空気はやっぱり冷たくて、 それでも、 つないだ手と手から生まれた、 柔らかな温もりが、 確かに、感じ取れた………。 . 前へ |次へ |
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