《MUMEI》

部屋の中では、黒い
マントの男がベッド
の脇に立ち、眠るジ
ェルマに手を伸ばそ
うとしていた。

床には、腕を傷付け
られた青年が見える


『!!』

あれは、修道院で見
た黒づくめの男!

ケインは、窓を押し
開け、黒マントの男
目掛けて、短剣を投
げた。


『うっ!』

虚を突かれた男の右
手の甲を短剣が掠め
る。

ヒラリと窓から侵入
し、男とジェルマの
間に入る。


『よお!また会った
な、言ったよな、コ
イツは俺のモンだっ
て!コイツに触れて
良いのは俺だけなん
だよ。』

不敵に笑い、男を投
げ飛ばす。


『チッ、お前は赤髪の
確か、ケインと言っ
たな!また邪魔をし
て』

憎々しげに、ケイン
を睨む男。


互いに、にらみ合い
部屋の中の空気がピ
ンと張り詰める。

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