《MUMEI》

監督の通夜が行われた。

密葬であったが、著名人もちらほら見える。
光は大人達の中に自然と溶け込み、挨拶を交わしたりもした。
俺はマネージャーとして、光の支えにでもなれたらと同行したがそのような隙は無かった。

映画が完成した五日後、監督は倒れたのだ。
撮影中も既に体調は良くなかった、俺は監督が見えないところで薬を飲んでいたことに気付いたが口止めされていた。


「いい写真があんまり残ってなくてね。遺影は、不意をついて光君が撮ってくれたものにしたんだ、ありがとう。」

親族の方と光は伊武監督の話をして、親族の方は涙を浮かべながら最後にもう一度感謝を述べた。
葬式はレイや祖母さんのとはまた違う、いや、一人一人違うのだが……監督の葬儀は監督の作品集に関わった人達が生きてテロップを流しているようだった。

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