《MUMEI》 . そのとき、プロモーションの様子を見に、サブチーフの矢代さんがやって来た。 調子はどう?と、尋ねてきた彼女に、久美子は、ハイ!と元気よく返事をして、売上票の束を差し出した。 「見てくださいよ!この売上!!ほとんど、芽衣ちゃん…中川さんのおかげだけど」 ね!?と、久美子はわたしに話を振った。わたしは曖昧に笑ってみせる。 矢代さんは売上票を眺めながら、すごい!!と華やいだ声をあげた。 「いいペースで売ってますね…日割予算まで、あと少しか…」 矢代さんの言葉に、わたしも頷く。 「日割は、わたしが責任もって達成させます」 自身満々に答えたわたしに、矢代さんは、頼もしいわね!と笑った。 「期待してます。あとで、どうやって売ってるか教えてね!セクションでも、参考にしたいから」 そう言い残すと、矢代さんはプロモーションスペースから立ち去った。 彼女の背中を見送ってから、わたしは香りをつけたムエットを抱え、颯爽と通路に踊り出て、 いらっしゃいませー!!と声を張り上げた。 「新作フレグランスをご紹介してまーす!」 わたしの呼びかけに、 次々に、客がプロモーションスペースへと、 集まってきたのだった…。 ****** 前へ |次へ |
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