《MUMEI》

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………あの冬の日、



わたしは、見知らぬ男に抱かれて、



すべてをリセット出来た。


間違っているかもしれないけれど、


それでも、わたしは、


あの夜、そのひとに、救われた。



尚への歪んだ気持ちも、



あかねさんに対する醜い嫉妬も、



わたしを取り巻く、凍てついた孤独すらも、



きれいに、浄化された気がした。





ネイリストさんはニッコリして、ステキですね〜!とはしゃいで言い、それから再び爪にネイルを塗りはじめる。


「結婚する本人たちが一番忙しいでしょうけど、出席するほうも結構、準備が大変ですよねー?」


…ドレスでしょ?靴でしょ?バッグでしょ?美容院でしょ?…それに、ご祝儀。


そうやってまくし立てて、ネイリストさんは、はあ…とため息をついた。


「こんな感じで、どんどんお金が無くなっていくんですよねー」


ぶうたれた彼女を見て、わたしは笑う。


「ふたりの幸せを祝うためだから、しかたないですよ」


わたしの発言に、ネイリストさんは顔をあげ、余裕の発言ですね〜!と茶化した。それから首を傾げて、あ、まさか!!と素っ頓狂な声をあげる


「ステキなひとに、巡り会いました?」


彼女のからかうような言葉に、

わたしは、ふっと笑い、

自分の爪先を見つめた。



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