《MUMEI》 ミス猫かぶり「南方です。入ってもよろしいですか?」 「えぇ、お入りなさい」 「失礼します」 「どうしたのですか?私に用事かしら?」 ―‥猫かぶりコンテスト優勝!! 貴女は、男勝りな本性を…(以下省略) そんな言葉が悠一の頭に思い浮かんだ。 南方さんは、彼女の本性を知ったらどう思うだろうな? 悠一が一人でそんなことを考えているなかで、二人の話は進んでいく。 「そこにいる青年ですが、私が何の報告も無しに、こちらに向かわせてしまったので、お 詫びを申し上げたいと思いまして」 「あら、そんなこと気にしないでいいのに」 「お優しい言葉、有り難うございます。白霧とは、もう話をされたのですか?」 「えぇ、とてもいい方ですね」 ニッコリと微笑みながら、俺の方を見るお嬢様。 …ミス猫かぶり決定 悠一は、またもやそんなことを考えていた。そんな悠一を見ていた廉は、何かに気付いたかのような反応をしてから、お嬢様に向き直った。 「…あの、一つお伺いしてもよろしいでしょうか?」 「何でしょう?」 「白霧は、どうして頬を怪我しているのでしょうか?」 「「…あ」」 廉の質問に、二人からは間抜けな声が漏れた。 「あ、あの、これは私が「お嬢 様が落とされた本のしおりを拾い、立ち上がる時にそこの戸棚の金具で切ったんです」 お嬢様の言葉に被せるようにして、悠一は咄嗟に思い付いた嘘を口にした。 位置的に戸棚の金具で切るというのは不自然だと思ったが、他には何も思い付かない。 …頼むっ!信じてくれ! 「…ふ〜ん、そうだったの。大丈夫なのかい?」 「あ、はい。全然平気です」 …って、えっ?嘘だろ。 信じちゃった? 前へ |次へ |
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