《MUMEI》

ドキン「食パンマンさま……」



S専務「なんだ……………!?」



食パンマンは、ベッドの上で肌を寄せあう女に、怒りの治まらない口調を返した。



しかしドキンちゃんは、そんな男の粗野な一面に怯えることもなく、優しく語りかけた。



ドキン「アナタだけは助けてあげる…。」



S専務「僕を助けるだと?」



ドキン「そうよ…。


…この先、ジャム食品に降りかかる災いから、アナタだけ逃してあげるわ…。」



食パンマンは、胸板に顔を埋めながら、小悪魔のように上目使いに見上げる瞳を覗きこんだ。



この女がわざわざ20年ぶりに自分の前に現れ、自分達の秘密を明かしてくれた行動の意味が、おぼろ気に見えたような気がした。

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