《MUMEI》 . 重く薫る、バラの香りと、 彼女の甘やかな声が、 俺の意識を混濁させる…。 俺はベッドからすり抜けると、 床に散乱する服や下着を踏みしめながら、 彼女に言われた通り、 ムッとする蒸気で満たされた、 バスルームへと向かっていった……。 ****** バスルームで1回。 ベッドに戻って2回、彼女を抱いた。 いや、抱かれた、のか。 もはや、それも分からないほど、 俺と彼女は、裸で縺れ合い、お互いを求め合った。 しなやかでグラマラスな女の身体と、 立ち込める濃厚なバラの香りに、 俺は、また、 理性を失っていく−−−−。 ****** 眠り込んでいた俺の枕元で、 携帯が鳴った。 ぼんやりとしたまま、俺は、携帯を開く。 親友の小相澤 拓哉からの、メールが1件。 『2時間後に、《ラグーン》で』 あっさりとした文面に目を通し、俺は携帯をパチンと閉じた。 枕に顔をうずめ、深いため息をつくと、 すぐ耳元で、声がした。 「…メール?」 かすれがちなその声に、俺はゆっくり寝返りを打つ。 そこには美しい顔をした全裸の女が、いた。 真っ白なシーツが、彼女の豊かな身体のラインを、くっきりと浮かび出す。 生活感を一切感じさせないその肢体と、 独特なバラの香りに、眩暈すら覚えた。 . 前へ |次へ |
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