《MUMEI》

…罵る?何を言って
いるんだ、彼は…

夢視はショウの方を
向いた。


『生きていて欲しか
った。お前を死なせ
たくなかったんだ!
朱里…』


『でも、今の様な辛
い状態になるなんて
…朱里、俺はお前に
笑って生きて欲しか
ったんだよ、そんな
幽霊の様な顔をさせ
る積もりじゃなかっ
た。』

辛そうに語るショウ
を見ながら夢視はポ
ツリと呟く。


『あの時〜お前とな
ら死んでも良いと思
っていたんだ。』


ハッとして顔を上げ
るショウ。


ーーあの時、敵国に
囲まれ絶体絶命だっ
た。傷付きながらも
私を庇ってくれたお
前ーー

意識を失い、目覚め
た時には……全てが
変わり果てていた。


『あの時に…朱里と
いう男は死んだんだ
よ…ショウ』

暗い瞳で、ショウを
見詰める。

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