《MUMEI》 二郎が俺を好きなのはよくわかっているんだ、けれどよそよそしい時がある。 午後七時になると必ず一人で買い出しに行く、しかも携帯電話を気にしながら……、いけないとわかっているのだが、ついつい二郎が眠ってる隙を見て携帯電話を開いてしまった。 後ろめたさもあったが、 ロックがかかっているとますます怪しい、欲求は抑えられなかった。 パスワードを考える。 二郎の誕生日だと安直…… 俺の誕生日でもない、 乙矢論外。 じゃあ、二郎の高校時代の出席番号とか。 当たり。 メールボックスには大量に一人の名前で埋め尽くされていた。 内容は他愛のないもので、天気の話、テレビドラマの話…… そして、 いつ一緒に暮らすかという話。 前へ |次へ |
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