《MUMEI》 . クラスの女子達はミステリアスな拓哉に、みんな夢中になったが、 俺を含め、男子達はそう簡単にはいかなかった。 いきなり現れて、女子達にキャーキャー騒がれて、 しかも頭もそこそこいいし、運動神経も悪くないとくれば…。 −−−そんなの、面白くないに決まってる。 あらゆる面において完璧な拓哉に対して、ある意味、劣等感を抱いていたのかもしれない。 拓哉も、俺達が嫌悪していることを敏感に察知していたのだろう。 クラスメイト達とつるむことはせず、休み時間には自分の席で携帯をいじったり、ぼんやりと窓辺にひとりで佇んでいることが多かった。 そんな飄々とした彼を見て、 女子達は、クールだと褒めたたえ、 男子達は、スカしてると鼻で笑っていた。 −−−けして関わることがなかった、俺と拓哉が急接近したのは、 本当に、些細なことだった。 −−−ある日。 授業を終えた俺は学校を出て、いつものように《ラグーン》へ向かった。 その日、バイトは入ってなかったが、家でごろごろするより、波に乗っていたいと思ったのだ。 . 前へ |次へ |
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