《MUMEI》
放課後の楽しみ
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季節はちょうど初夏を迎え、海にはたくさんのサーファー達がやって来ていた。


俺はバイト仲間に気づかれないように慎重に店に近づき、入口のドアにある覗き窓から、《ラグーン》の中をこっそり覗く。


本格的なシーズンを迎えると、店は殺人的に込み合うので、こんな風にふらりと立ち寄ると、有無を言わせず店の手伝いをさせられるのだ。

金にはなるが、たまったもんじゃない。

せっかく楽しみにしているサーフィンの時間が、無くなってしまう。


店内には何人か客がいたが、それほど忙しくなさそうだった。このぶんだと、手伝わされることは、なさそうだ。


俺は安心して、店に入った。


突然現れた俺の姿に、奥のレジにいたバイト頭のヒロトさんが、いち早く気づいた。


ヒロトさんは俺より10コ上で、サーフィンもすごく上手くて、アマチュアの大会でも優勝するくらいの腕前で、この辺ではわりと有名人だった。

その腕を見込まれて、店長の代わりにサーフィンスクールのインストラクターも勤めていた。


そんなことを鼻にかけず、いつでも気さくに誰とでも分け隔てなく仲良くするようなひとで、



そんなヒロトさんを、俺は尊敬していた。



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