《MUMEI》 「言いたいことあるんだろ?」 俺の問いへの黙認が肯定のようだ。 「そうか……今は、言えないのか。」 「だって、七生、絶対怒るよ……」 二郎がやっと俺を見た。 引き出せたようだ、俺が怒るって? 「俺が嫌い?」 切り出してみた。 「そんな訳ないだろ……七生が好きに決まってる。」 「じゃあ、何故、メールの相手を教えない?」 二郎の目は見開かれたが声は出さなかった。 「……だんまりか?」 両手を掴んで二郎の瞳を覗き込む。 「二郎は俺が好き?」 無言で頷く。 「隠し事は無しだったよ?」 それも頷く。 「でも破った?」 それも頷く。 「教えてくれる?」 動かなくなった。 「強情だな……何を言っても無駄ってか……いいよ。二郎のこと信じてあげても、でもケジメはつけてくれよ。」 向こうがそう出るならこっちにも考えがある。 前へ |次へ |
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