《MUMEI》

先に筆洗いに行った啓子がもう戻ってきた。

(まあ、あと2回あるし)

啓子と入れ違いに、筆を洗いに行く。
水道、誰も使ってなかった。

(空いてる、空いてる♪今のうち)

水道は2つついてて、左側で洗い始めた。
この季節は水が心地いい。

隣に誰か来た。足元ズボンやわ。男子やん。

「もうできた?」

え?聞き覚えある声やなぁ…吉田くん?
去年一緒のクラスやったし、結構話しやすい
(^^)

「ううん。あともう少し。」

顔上げんと返事した。

「そうなん。俺もまだ。」

吉田くん、筆洗うん早やっ!
もう行こうとしてる。
私もそろそろ行こ。
水道止めて吉田くんのほう見たとき、目が点になった
(・・;)

Σ( ̄◇ ̄*)
後ろ姿が明らかに吉田くんと違うやん!?
しかも誰?
(・・?)
うっわー、顔見んとしゃべってしもた
<(_ _;)>
ヤなヤツって思われたやろなぁ…

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

選択の次は世界史やった。
どの学年も、一学期は男女ゴチャ混ぜのあいうえお順に席が並ぶ。
私は苗字が「安田」やから、席は教室の後ろのドア近く。
みんなの後ろ姿がよう見える。

(そうや、さっきのコ探そう)

窓側の列から、男子の後ろ姿を観察した。
…いたいた。
真ん中の前から2番目。
あの辺やったら「さ行」か「た行」やな。
どんな顔なんやろ?こっからやと横顔が限界やん
(--;)

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

楽しいランチの時間になった。
今日はお母さんが寝坊してお弁当ないから、啓子と一緒に学食行って食べることにした。
私らの前を吉田くんが歩いてる。
声かけようとして、吉田くんの隣みたら、
Σ( ̄◇ ̄*)
あのコやん!
あの二人、友達やったんや。

「なあなあ、吉田くんの隣のコ、誰か知ってる?」
「え?あぁ、佐藤くんのこと?」
「佐藤くんていうんや。って、啓子なんで知ってるん?」
「あのコ、中学一緒やったもん。」
「なんや、そうなんや。」「どうしたん?」
「ううん、さっき選択のとき、話しかけられてんけど、誰かわからんと返事してさー。」
「…気になる?」
「(゜ロ゜;どきっ!するどい!」

私らは笑いながら、学食に入っていった。
結構混んでるなぁ…席なかったらどうしよう
(・・;)
食券を券売機で買って、きつねうどん待ってたら、案の定、席埋まってた
(--;)
「どうする?紫乃。」
「どうしよう?」

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