《MUMEI》

修道院は二階建ての北館と南館があり

北館には少女達の寮
南館には礼拝堂や学習室、司祭室がある




…サァっと朝一番の爽やかな風が、寮の少女達の窓を叩く


日はもう、その顔をはっきりと青空に現していた



「ティーンちゃん」


寮の一室から幼い声が聞こえる

「ティーンちゃんってば」


その部屋には二人の少女が居た
眠る少女に声をかける小さな女の子は歳にして7、8歳ほど
可愛らしい赤いパジャマで、少し寝癖で跳ねた肩までかかる金髪は、陽射しで美しく輝いていた

ベットで寝ているであろう別の少女をゆさゆさと揺さぶる


「…う、ん―…」

女の子より歳上で、こちらは少し淡い色のセミロングの金髪の少女は小さく寝返りをうつと布団を顔に引き寄せた

…その少女の眠るベットの上には読み終えたと思われる本が無数に散乱していた

それだけではない
一人に一つ与えられる学習机の上も
二人一部屋にある共同で使うテーブルの上にも、床の上にも…

ベット横の蝋燭は溶け切り、読書用のルーペは少しぼろだった

「せっかくのお休みなんだし、いつまでも寝てないで掃除でもしてよ〜ティーンちゃ〜ん!」

女の子はいっそう強く、ティーンと呼んだ少女を揺さ振った


「…休みなんだからゆっくり寝かせてよぉ、遅くまで本読んでたんだから」

そう言って、ティーンは布団の中に潜った

「ふんだ!そーんな不規則な生活を送ってるから、私より三つもおねーさんなのに背が伸びないのよ!」

「ポポ!」


気にしていたのか、ティーンはガバッと起き上がると、悪態をついた女の子…ポポに布団を投げつけた


「ボクよりまだ『三つ』も子供のポポに、言われたくないよ!」

「それに人間は、これからが成長期って言って、背も伸びて、む、胸も大きくなって、きれーになるんだから!」


「はーいはい、じゃあ大きくなるために栄養を取りに食堂に行こうね、ティーンお・ね・い・さ・ん」


「うぅ…ポポのいじわる」


まだ寝ぼけ眼を擦るティーンを引っ張りながら、ポポは部屋を後にした

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