《MUMEI》

丘陵を削ったように段々と建ち並ぶ新興住宅地…



その中腹あたりに、小むすびマンの住む、アイボリーの外壁の家はあった。



息咳切って自宅まで駆けてきた小むすびマンは、首からストラップに吊した鍵を取り出すと、玄関ドアを開けた――…。



小むすび「ただいまー!」



元気に叫ぶと、靴を脱ぎ散らかして家に上がる。



しかし家の中は静まりかえり、小むすびマンの帰りを迎える者は誰もいなかった。



そんな家の寂しさを気にもとめず、小むすびマンは居間の奥へと歩みを進めてゆく…。



―――… チーン …。



小むすび「いま帰ったよ…。


―――……母さん……。」



少年は小さな遺影の前で、お鈴を鳴らし、両の掌を合わせた…。

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