《MUMEI》 俺と拓哉の決意. ヒロトさんの事故から少し経ったときのこと。 《ラグーン》でバイトを続けていた拓哉をからかいに行ったとき、 突然、彼は、俺に宣言した。 「俺、プロサーファーになる」 最初、なに言ってんだ、と思った。ヘンなものを食ったか、どこかに頭をぶつけたか、と。 プロサーファーになれるのは、ほんの一握りだ。 それも、幼い頃から海と慣れ親しんだものが目指す中で、 拓哉のキャリアは、あまりに短すぎた。 冗談言うなよ、と、俺が笑い飛ばすと、 拓哉は真剣な眼差しを向け、冗談じゃないよ、と答えた。 「俺は、将来なりたいものとか、夢中になれるものがなかった。『人生なんてこんなもんだ』って、馬鹿にしてた。ひねくれてた。でも、ヒロトさんや武に出会って…サーフィンに出会って、初めて生きてるって感じたんだよ」 俺は頭を振った。てんで話にならない、そう思った。 . 前へ |次へ |
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