《MUMEI》
電話
「カフェってここか〜」
「あっ、知ってた?」
「前通ったことがあって・・オシャレだなって思ったけど行ったことなかったんだ」
「へぇ・・入ろっか」
「うん」
「プルルル・・」
「あっ・・絵麗那のケータイなってるよ・・?」
「本当だ・・ごめんね」


「はいもしもし・・」
「絵麗那ちゃん?」
「もしかして・・純のママ?」
「あのね・・純が・・」
「純が?」
「事故にあったの・・」
「生きてるの?」
「1時間前に死んじゃたの・・」
「うそっ・・・純が・・・ねぇ・・うそでしょ?」
「車の不注意だったの・・」
 ―純が死んだ・・?

 電話を切った後・・あたしは座り込んだ・・。
「どうしたの・・?」
「純が・・純が死んじゃたよぉ・・」
「純くんが・・?」
「そう・・今電話があって・・純のママから・・一時間前に交通事故で・・」
「うそっ・・」
「嫌っ・・嫌だよぉ・・嫌ー!!」
「絵麗那・・とりあえず・・家に帰ろう・・」
「うん・・」
「ここからじゃ・・純くんの所遠い・・?」
「ここ東京で・・あっちは大阪だもん・・」
「いけないね・・」
「ぅん・・あの時・・あの時好きって言えばよかったよ・・」
「絵麗那・・」
「あの時好きって言ってれば・・こんな事にならなかったかもしれないよ・・」
「しっかりしてよっ」
「無理だよ・・・ごめんっ・・帰って・・・」
「うん・・何かあったら・・うちにいってね・・」
「ぅん・・・ごめんね」
「ううん」

〜琉緒〜
 あの日から絵麗那は学校に来なくなった・・。

「絵麗那・・ドア開けてよっ・・・」
 あれから一度も部屋から出てこない・・。

 ―一週間後。

「絵麗那」
「あたし・・そろそろ大丈夫かも・・」
「よかった」
 絵麗那は学校に来てくれた。
「もう大丈夫だよ」
と笑う顔は少し悲しげで・・ひきつってた。
「絵麗那・・やせた?」
「やせてないよ・・?」
そういいながら・・きっと2キロは絶対やせてる・・。

「気をつけ・・」

 福山先生の授業さえ・・絵麗那は聞いてなった・・。
 むしろ・・福山先生の授業を嫌がっていた・・。
「何で・・嫌なの?」
「だって・・福山先生は・・純と同じ名前だから・・」
「うん」
「どうしても・・思い出しちゃって・・そこにいるのが純だったらって・・」
「もしも・・純くんがこの学校にいたら・・絵麗那は福山先生を好きになったと思う?」
「ううん」
「じゃあ・・好きになるのやめたら?」
「えっ?」
「そんな半端な気持ちで人を好きになっちゃいけないよ」
「ぅん」
「福山先生に失礼だよっ!!」

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