《MUMEI》 突然の誘い. 拓哉は高校を卒業すると、地元の大学へと進学した。 プロサーファーに、学歴は必要ないんじゃないか、と思ったが、 彼いわく、大学へ行くのは、「ライフセイバーの資格を取るため」だそうだ。 拓哉は大学に通いながら、《ラグーン》のバイトも続けて、 ヒマを見つけてサーフィンに明け暮れていた。 一方、俺は、 キャンパスライフを呑気に謳歌しながら、たまに昌美と会い、 空いた時間には、拓哉の練習にこうして付き合っているのだった。 ****** 思う存分波に乗った後、 拓哉はボードを抱えて、浜へ戻ってきた。 波打際で座り込んでいた俺は、 朝日をバックに、陸へ上がる神秘的な彼の姿を、 ただ、じっと見つめていた。 拓哉は俺の傍までやって来ると、髪についた砂を払い、言った。 「今日、講義あるの?」 彼の質問に、俺は考え込んだ。 確か、午後の講義は休講だったはずだから、講義は午前中だけだ。 そう伝えると、拓哉は前髪をかきあげて、続けた。 「だったら、午後、俺ン家来ない?新しいボード買ったんだけどさ、ちょっと見てほしいんだよね」 拓哉の誘いに、俺は、学校は?と尋ねたら、彼は今日は講義がないんだ、と簡単に答える。 . 前へ |次へ |
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