《MUMEI》
母大樹の出会い
「たぁぁーッ!」



ザンッッ!と裂傷がうごめく魔物を裂く
リィズの剣閃は、瞬く間に魔物を二つに切り裂いた


………世界中、至る所に魔物有り
そもそも、人々の食用やペットに分類されるのが「動物」であり、人間に仇なす者、人命に害を成すものが「魔物」と
この世界では定義されている


戦後、大戦の影響で魔物は凶悪化した
中には絶滅したものも居るが、何より人間達によって「兵器」として利用された例もある…



とにかく、セントレインティア修道院の周囲とて、決して安全な訳ではない…が
母大樹の加護か、この近辺には狂暴な魔物は存在しなかった


「えぇーいッ!」

ティーンの気合い一発
小さな鉄球の付いたこん棒
<メイス>で、蜥蜴型のプチリザードを叩く


「グェッ!」
潰れたような鳴き声を挙げ、プチリザードは砂の様に溶けた
この現象も、人が動物も魔物を線引きする要因である


「ふー…」
つい熱くなって、ティーンは額に滲んだ汗を拭う

「ねえ、終わった?」
木に隠れていたポポが顔を出す
魔物の群れはティーンとリィズの二人によって退治された


「うんうん♪いい感じね」
手にした剣、ロングソードを2、3振りかざし
リィズは腰元の鞘に納めた

ティーンは改めてメイスをじっと見つめ、リィズに問いかけた
「リィズちゃん、毎回どっから仕入れてくるのこの武器…」

「月刊ウェポンヒーローで取り寄せたのよ!このロングソード昨日届いたんだから」

呆れた顔でポポが口を開く
「あれ読んでる人居たんだ…」


森の奥に在って外界との接点がほとんどないセントレインティア修道院では
定期的に輸入される雑誌類の応募や遠距離購買などが人気ある娯楽だった

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫