《MUMEI》

「何よ、ティーンだって本とかよく注文するじゃない、本が武器に変わった、それだけよ」

「なんだかなぁ…全然意味合いが違う気がするんだけど」


これ以上言い合っても終わらないと思ったティーンは
同じく腰元のベルトにメイスをセットした


朝の陽射しが差し込み、神秘的な森の小路を歩く道中、リィズは何かを思い出したのか
ティーンの方を顔を輝かせて振り向いた


「そうそうそう!ティーンってさ、この間、治癒の基礎知識マスターしてたよね!」

「…ボクが、じゃなくて『ボク達のクラスが』でしょ、リィズちゃんも習ったでしょ」
ハァ…とため息一つ、ティーンは横目に逸らす

この世界において、「魔法」は特別なものではない
素質に優劣はあるものの、学べば誰でも使えるし
鍛練すれば誰でも魔法を強くできる
しかし、創作や応用になると、また一線、意味を分けることになるが


「あ、あはは、…寝てた」
苦笑いのリィズは、コホン、と咳を入れると話を持ち直した

「でさ、私の剣術とティーンの回復でバランス取れてない?」

「何が言いたいのさ?」

リィズは立ち止まって、ちょっと真剣に、しかし希望に満ちた色を顔に浮かべていた


「だ、か、ら、修道院を卒業したらさ、シスターなんか辞めて、一緒に旅しようよ!」


「旅?」
ちょっと意外な提案に、立ち止まってキョトンとするティーン

「それ、面白そう!私も行きたい!」
ポポは賛成派のようだ、まるで今からでも出発しそうにワクワクした面持ちをしていた


「ね、考えといてよ!」
リィズはギュッとティーンの手を握る
「う、うん」

ティーンはまんざらでもない気がしていた



その後は、魔物も出ることなく、三人は森の主
母大樹の下へ着いたのだった

前へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫