《MUMEI》

『如月が、好きだよ』

ーーザワザワーー

周りの雑音が、僕の
告白を、あっと言う
間に、かき消してい
く。

見詰める如月の瞳は
見開かれたままで…

僕と如月の間だけ…
時が緩やかに流れて
いるみたいで……。


暫くして、如月が口
を開いた。


『ありがとう、海里


そう言って笑った後
真剣な顔で話を始め
た。


『俺、正直、海里に
惹かれてたと思う。
海里の告白聞いて凄
く嬉しかった。
でも…今は駄目なん
だ、こんな俺じゃ…
海里を傷付けてしま
うから…』


如月の表情で、解る
僕は、フラれるんだ
と…。

僕は、辛そうな如月
の言葉を遮って口を
開いた。


『如月、ありがとう
を言うのは、僕だよ
如月のお陰で、自分
に自信が持てたんだ
…、如月が僕自身を
気に入ってくれたか
ら。』

如月に笑いかけなが
ら…そう言った。

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