《MUMEI》 現れた女性. 坂道の一番上にある、外壁の白い家。 そのレトロなたたずまいの、木造一戸建てが、拓哉の家だった。 懐かしい気持ちでいっぱいになりながら、俺は、拓哉の家の門の前で立ち尽くす。 青い空をバックに建つ、小さな白い家。 まるで、おとぎ話に出てくるような、そのこじんまりとした建物を、感慨深く眺めてから、俺は門に着いている呼び鈴を鳴らした。 無機質な機械音の後、しばらく待ってみたが、 一向に、誰も出て来ない。 もう一度、鳴らしてみる。しかし、何の音沙汰もなかった。 拓哉には、大学が終わったら、まっすぐ向かうと伝えてある。 しかも、彼は今日は何も予定がないから、俺の到着を、この家で待っている手筈だった。 どうしたんだろう?と、ひとりで首を傾げていると、 「…こんにちは」 柔らかい、女のひとの声がした。 俺はハッと我に返って振り返り、 そして、 目を見張った。 . 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |