《MUMEI》
幻想的な庭
.

そこまで言うと、彼は窓の方を顎でしゃくるようにさした。


「そこから見てみなよ。ウチの庭、すげーことになってっから」


何のことか分からなかったが、俺はとりあえず言われた通り、立ち上がって窓辺に近寄り、そこから外を眺めた。


……窓の下には、


小さな庭が、あった。

中央には、大きな木が一本。その周りを取り囲むようにして、煉瓦造りの花壇が造られ、色とりどりの花々が咲き乱れている。

端の方にはダークブラウンのガーデンテラスが設置されていて、その上には小さなテーブルと椅子が2つ。

庭の入口と思しき所には、緑の葉っぱで飾られたアーケードがあった。


そのアーケードに咲いているのは、

血のように赤い、

バラの花。


庭の背景には、青い空と青い海が生み出す水平線がはっきり見えて、

まるで、空中庭園のようだった。


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