《MUMEI》

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俺は若菜の顔を見上げ、いいよ、と答える。


「ちょうどヒマだし。参加します」


俺の答えに、若菜はパッと顔を綻ばせ、うん!とはしゃいだ声をあげた。


「わたし、幹事なんだ。連絡とかしたいから、アドレスと番号、教えて貰ってもいい?」


彼女の申し出を快諾し、俺達は連絡先を交換した。

若菜は、ありがとう!と明るい声で言う。俺は、どう致しまして、と答え、かばんを抱えて、講義室から出ようとすると、


「ねぇ!」


若菜が呼び止めた。

俺が振り返ると、若菜は躊躇いがちに言った。


「実はわたし、幹事とか初めてで…よかったら、手伝ってくれないかな?」


いきなり言われて、少し驚いた。なんで俺?と思った。

若菜のような人柄なら、もっと仲の良いヤツがいる筈なのに…。

その疑問は、続けられた彼女の言葉で納得出来た。


「矢代君、オシャレなお店とか詳しそうだし、みんなの名前、覚える良いチャンスじゃない?」


別にシャレた店なんか知らないし、そんなチャンスいらないけど…と一瞬、言い返そうかと思ったが、

これもコミュニケーションのひとつか…と考え直し、

俺は若菜に言った。


「…いいよ、手伝う」


ホント!?と、彼女は嬉しそうに笑う。
俺に近寄り、キラキラと目を輝かせた。


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