《MUMEI》 若菜の頼み. 「じゃあ、早速、今日お店探ししようよ!」 今日?と、俺は眉をひそめた。 いくらなんでも、急じゃないか? たしなめようとしたが、若菜があまりに無邪気な顔をしているので、俺は断ることが出来ず、仕方無しに頷いた。 ****** 大人しそうな外見とは裏腹に、 若菜は結構、アクティブな性格をしていた。 好奇心が旺盛で、一旦興味を持ったら、そっちに突っ走るような、猪突猛進タイプ。 『思い立ったが吉日』 どこかで聞いたことのあるその言葉が、彼女の座右の銘だそうだ。 「何かスポーツやってる?」 飲み会の店を探しているさなか、歩き疲れた俺と若菜は、近くで見つけたコーヒーショップに立ち寄った。 慣れない女の子との会話に、すっかり疲労しきった俺は、ぐったりと椅子に座り込んでいた。 対して若菜に関しては、楽しんでいるのか、嬉々として俺の向かいに腰掛けていた。 オーダーしたアイスココアを飲みながら、 いきなり若菜が尋ねたのだった。 . 前へ |次へ |
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