《MUMEI》

アンパンマンは執務室の窓辺に佇み、大都会の汚れた空を見上げる…。



そこには東京湾岸の工業地帯から立ちのぼるスモッグに包まれ、弱々しく光る冬の太陽があった。



アンパンマンは僅かに目を凝らすだけで、難なくその光輪を直視できてしまった。



(なんとも頼りない光だ………。


我々の未来だけは、もっと明るく照らして欲しいものだな…。)



おぼろげな光で低い恒道を進む太陽は、まるで不況の波間に翻弄されるジャム食品株式会社の姿を象徴しているようで…



アンパンマンはそれが無性に歯痒かった…。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫