《MUMEI》
それから…
『海里、そろそろ出
番ですよ!』

マネージャーの社さ
んが、呼びに来る。


『はーーい。』


『主役と絡む、大事
なシーンですからね
頑張って!』

社さんが、ポンと背
中を軽く叩いた。


『大丈夫!任せとい
て』

社さんを見下ろして
ウインクした。


『じゃ、本番ーー』


今、俺は、『海里』
の名前で役者をやっ
ている。

脇役メインなのだが
ボチボチ売れ始めた
頃…。


『はい、カッーート
!シーン37、OKで
す!』

スタッフさんの声に
ふっと緊張が解ける


『お疲れ様、海里』


『ね、社さん!バッ
チリだったろ?俺の
演技〜。』


はいはい、と子供を
宥める様に返事をし
た社さん。

『さ、急がないと間
に合いませんよ!』


『分かってるよ!』

俺と社さんは慌てて
身支度をした。

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