《MUMEI》

『さあ、詳しい話は
まだ判りませんが』


『なんて名前、その
監督!有名なの?』


社さんは、暫く間を
置いた後…

『えーと、確か…
ケン、でしたかね
名前は。』

と、何だか曖昧な
返事をした。


『ケン?外人なの
?』


『さあ、詳しくは私
にも、あ、次の現場
に着きますよ!用意
して下さいね。』


なんか、上手く誤魔
化されたみたい…。


現場の収録もスムー
ズに終わり、社さん
と俺は、そのケンさ
んと言う、監督の待
つ店に着いた。


予約席の個室に通さ
れたら、ケンさんは
まだ来て無い様子。


『社さん、ケンさん
居ないね。』

俺の言葉に社さんは
苦笑した。

『海里、私は、社長
に連絡入れるから、
このまま、待ってい
て下さいね、すぐ戻
りますから…』

そう言い残して、社
さんは部屋を出て行
った。

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