《MUMEI》 . 若菜は不服そうに頬を膨らませ、もったいない!とすかさず非難したが、すぐにがっかりしたように肩を落とした。 「見たかったなぁ、矢代君の波乗り…」 さらに、ため息も付け足される。 何故そんなに残念がるのか分からなかったが、俺は少し考えて、言ってみた。 「俺はもう辞めちゃったけど、ダチがやってるところなら見られるよ」 サーフィン仲間や、拓哉が真剣に波に乗っている姿を思い浮かべながら、言った俺の言葉に、 若菜は物凄い勢いでくいついてきた。 「見に行きたいッ!サーフィン、見たい!!」 連れてって!!と懇願し始める。 俺は、気圧されながら、いいけど…と呟く。 「仲間に聞いてみなくちゃ、なんとも言えない…」 言葉を濁すと、若菜は力強く頷いた。 「じゃ、許可貰ったら連れてって!連絡、待ってるからッ!!」 若菜はそれきりサーフィンの話をやめ、大学の教授や助手の悪口に興じていた。 ****** −−−結局。 飲み会の店は、大学近くにあるショットバーで開催することになり、 若菜のマシンガントークからようやく解放された頃には、 とっぷり日が暮れていた。 . 前へ |次へ |
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