《MUMEI》 「うん、うん、そうだね。」 相槌ばかりで会話が推測できない。 「うん、うん、わかってるよ。I love you.」 なんだと……? 俺以外の奴に愛の言葉を贈るなんて! 「てめ、餓鬼だからって調子に乗ってんじゃねぇ!」 つい、頭にきて受話器を奪って怒鳴り付けてしまう。 「アンタこそわきまえなよ大人気ない、アンタみたいなのがジローの知り合いだなんて信じられないな。」 最近の子供は口が達者だこと! 「知り合いじゃねー、 俺は二郎に最も愛されてる男だ!」 これだけは譲れない。 「喧嘩しないで……」 二郎が体を引きずりながら寄ってきた。 「二郎は黙って!」 「ちょっと、ジローのこと虐めたでしょ?」 この場合、今の怒声に言ったのだろうが現状を見透かされたようだった。 「ジローをこんな乱暴な奴のとこに置けない、早く返して。」 何様のつもりなんだろうか。二郎をまるで恋人かなんかのように……! 「二郎は絶対に渡さない、俺と暮らすんだからな! 親の顔が見てみたいな……っ!」 俺が叫んだ瞬間、 二郎は立ち上がってコートを羽織って出ていってしまった。 あっという間の出来事だ。 前へ |次へ |
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