貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》
外れた世界 終章
ポタポタと赤雫が滴れる。
その一滴は水溜まりと成り、月光を反射し、鈍く揺らめく。
「…もう…ひと…り、だ…と?」ヱグザスの体が斃れる。
そして、剣が手から滑り落ちると同時に男は鎖の拘束から解放された。
「功を焦るから深手を追うのだ。そんな体たらくでは仇敵を討つなど夢のまた夢。ましてや是は最凶の剣、なのだから」
ヱグザスを一閃の下に斬り伏せた男が、言った。
「すまない…フェルゼルート」
「礼は後だ。先ずはレオン、君の傷を癒そう」
男、フェルゼルートは剣を鞘に納めレオンの胸に手を当てて唱えた
-尊き傷痕を宿す者よ-
「傷付きし我が同胞の肉体に健なる癒しを…」
淡い光がレオンの体を包む。
「相変らず便利な物だな、一一一一一その力は」
先程までの痛みが消えたレオンは
自身の剣を拾い上げた。
フェルゼルートは薄い笑みを浮かべながら否定する。
「余り当てにするな。限界を越えた傷は治せない。それに、死人を甦生させる事も出来ない。全く中途半端な物だよ、これは」
「それもそうだな。……今はまだ…力が足りない。決着は次に預けておくよ。ヱグザス、いずれまた逢おう」
二人の男は音も無く消えた。
跡には血に塗れたヱグザスと、剣が一本。


もう夜明けは、すぐそこまで迫っていた。

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