《MUMEI》

社が、部屋を出て廊
下を歩いていると、
前から1人の男が歩
いて来た。


『遅れて、すみませ
ん』

すれ違い様に、男が
社に声を掛ければ、
社も男に声を掛けた

『中で、待っていま
すよ、私は、これで
帰りますので…後は
任せても大丈夫です
よね?』


『はい』

男は強く頷いた。


社は、フッと笑い手
を振り男と別れた。


男は、社に一礼し、
個室へと歩き出した


『社さん、遅いな〜
直ぐ戻るって言った
のに…』


カチャリ…
海里の背後でドアの
開く音がした。


『もー社さん、遅い
よ〜って…』

振り向いた、海里の
前にいた人物は…


長い髪を、無造作に
後ろに束ねた、ヒゲ
面の黒サングラスの
男。


『だ、誰?あっ、も
しかして、ケン監督
さんですか?』


その男は、頷いた。

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