《MUMEI》 . ひとしきり笑った後、 若菜は何か思い出したように、そういえば!と切り出した。 「例の件、どーなった?」 突然そう切り出され、俺は理解ができず、眉をひそめて、例の件?と聞き返す。 俺の様子を見て、若菜も眉をひそめた。 「忘れちゃったの?」 「何だっけ?」 すかさず聞いた俺に、彼女は呆れたような顔をして、ズイッと身を乗り出してきた。 「サーフィン!!見学させてくれるって、約束したじゃん!!」 大声で言ったその言葉を聞いて、俺はようやく思い出す。 そして、あぁ〜と、曖昧に頷いてから、答える。 「いいよ、いつでも」 俺の返事に、彼女はホント!?と顔を輝かせた。俺は彼女を見つめ返して、頷く。 「仲間はほぼ毎日サーフィンやってるから。後で、寺嶋さんの都合のいい日、教えて」 そう言うと、若菜は本当に嬉しそうに、うん!と力強く返事をした。 −−−そんな俺達に、 女のひとりがこちらを指さしながら、あーッ!!と大声をあげる。 「若菜、ズルイ!さりげに矢代君の隣座ってー!!」 その声に反応するように、他の女達も、ズルイ、ズルイ!と喧しく喚き出した。 . 前へ |次へ |
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