《MUMEI》

A常務「………コイツだ……。」



アンパンマンは、何かを確信したように呟く…。



先ほど自ら戒めた“失礼な一人称”を再び持ち出して――…



(コイツなら…。


…食中毒事故があった日……15時で退社して、記者会見の前に、おむすび顔のライターに会うことも可能だ…。)



アンパンマンのこめかみに、一筋の汗がつたう。



(…我が社が発展途上にある時代…


…我々が裏で手に染めた数々の悪事も…


…この女は、社長のすぐ側で、すべて目の当たりにしてきた…。)



そしてアンパンマンの心中で、点と点が結ばれる。

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