《MUMEI》 . 昌美は、話をやめない。 「わざわざ追いかけて来てくれた女の子を置き去りにするなんて、君もひとが悪いわね…」 クスクス…と、彼女の軽やかな笑い声が車内に響く。俺は窓の外を眺めて、ぶっきらぼうに、うるさいな、と毒づく。 「関係ないだろ?」 つれなく言ってやると、昌美は特に気にした様子もなく、そうね、と簡単な調子で頷いた。 俺はチラリと昌美を見る。 彼女は正面を見つめたまま、ハンドルを操っていた。サングラス越しの瞳は、何を考えているかわからないような、不思議な色をしていた。 身体中に、熱く烈しいモノが、駆け巡る。 その、ミステリアスな彼女の、 柔らかな太股に、そっと手を置いた。 滑らかなシルクのスカートの感触を確かめるように、ゆっくりと手を滑らせる。 舐めるように、その感触をじっくり堪能していると、 だんだん心拍数があがり、呼吸まで荒くなってくる。 . 前へ |次へ |
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