《MUMEI》
元旦
かしこまった、新年の挨拶……
毎年恒例だけど…

何だろう、わが家の、この行事は…

別に、書き初めなんかしないんだけど…

……

ガキの頃は、お年玉欲しさに、喜んで、やってたけど……

もう、何年も、もらってないなぁ…

お年玉なんて…

親戚の人達は、くれるけどね……

朝から…お雑煮…

お節料理は、美味いけど

お餅は……

………

なつ姉、化粧も、しっかりとしてた

新年の始まりは、ビシッとする、
が、わが家の決まり…

………

はぁ……憂鬱だぁ…

友人達と、明けオメ、メールをしてたんだけど…

父と母が、明治神宮まで、行くと、言い出してォ

悠希 「俺は、パスォ」
「こんな、顔で、人混みに行きたくないよ…」

ぶつくさ言う、両親だったけど…

菜月 「たまには、二人っきりで、デートしてきたら?」

と、父と母を、からかう、なつ姉

菜月 「悠希と留守番してるから、言ってきなよ」

………

俺がワックス掛けた車で
出掛けた両親だった…


菜月 「…私達も、近所に行こうか?」

「悠希が綺麗にしてくれた、bB で」

悠希 「…」

なつ姉の、助手席…

菜月 「免許取ったら、私の車、使って良いよ」

悠希 「マジ?」

菜月 「ぶつけたら、シバくからね…」

悠希 「善処します」

菜月 「…うれしそうね」

悠希 「うん…bB 好きなんだ、俺…」

菜月 「…」

革のコート…

革のブーツ

少し、茶色の綺麗な髪…

みんな、なつ姉を見る…

俺達は、少し遠い神社に来てたんだ…

なつ姉が、ここに来たいって、言ったから…


1時間近く、列んで

やっと、お参り出来たんだ…

帰りの車の中で

菜月 「何を、お祈りしたの?」

悠希 「秘密…言ったら、ご利益無くなるって…言うじゃん」

「なつ姉は?」
「長く、手を、合わせてたけど…」

菜月 「…じゃぁ、私も、ひみつ…」

悠希 「…」

………

昼過ぎに、帰って来た、俺達

家の中に…なつ姉と

二人っきりだ…

悠希 「…」

菜月 「…」

何か、なつ姉と、上手く、話せない…

元旦早々だけど…

…はっきり、させたい…

………

悠希 「なつ姉…俺の部屋来てくれる?」

菜月 「えっ?…」

悠希 「話したい事…あるんだ…」

菜月 「…うん…」

………

俺の部屋で、向き合って座ったんだ…

悠希 「……」

菜月 「……」

悠希 「黙って、聞いてほしいんだ…」

菜月 「うん…」

悠希 「俺、…なつ姉が、幸せになりますようにって」

「お祈りしたんだ…」

菜月 「…」

悠希 「俺、…なつ姉を、好きって、気持ち」

「変わらない…」

「なつ姉が、俺を、邪魔に思うなら…顔、会わさないように、するし…」

「…けど…」

「笑われるかも、しれないけど…」

「なつ姉を、恋人に、したい…」

「それが、本心なんだ…」

「姉さんに…言う、言葉じゃないのは、知ってるけど……」

「俺と……付き合って…」

「ください……」

………

菜月 「……」
「…返事の、前に…」

「聞きたい事…あるの…」

悠希 「…」

菜月 「全部、答えてくれる?」

悠希 「……うん…」

………

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