《MUMEI》

私と修ちゃんの出逢いは、偶然の産物やった。
京都へ遊びに行ったときのこと。
人通りが多くて歩きにくいから、路地を抜けて行こうと入ってったら、見通し悪い曲がり角にバイクが停めてあって。

(ジャマやなあ( ̄^ ̄))

車道側に避けて行こうとしたとき、対向でトラックが入ってきて、逃げ場なかったからバイクのほうへ寄って、トラックは無事通過。
だけど…

私のショルダーバッグがバイクのハンドルに絡んで、慌てて取ろうとしたんが失敗
(>_<)
バイクこかしちゃって。

(どうしよう…)

しばらく待ってると、バイクの持ち主が帰ってきた。

「ごめんなさい(>_<) カバンひっかかってバイクこかしちゃったんです…」

すぐアタマ下げたから、チラッとしか見てへんけど…

……どーしよーっ!?
何か怖そうなヒトっぽい…

その人は傾いたバイクを起こして、しばらくあちこち見て回り、私の前に立った。

「まあ、顔上げたら?」

結構穏やかな声。
そんなに…怒ってない?
おずおずと、言われた通りに顔上げたら、意外と優しそうな目。

「ケガとかしてない?」
「あ、はい、大丈夫です。」
「立ち話も何やし、お茶でもどう?」

不可抗力とはいえ、私が慌てんかったら何もなかったかもしれへんし、彼に従ってついてくことにした。

「ハァッ(;´д`) クーラーはやっぱ涼しいなあ。何飲む?」
「…アイスティを。」

アイスコーヒーとアイスティを頼んで、改めて顔を見合わせた。

…(--;)
き、気まずい…
どうしよう…修理費っていくらくらいかかるんやろ?
ううん、そんなことより、私、これからどうなんねやろ…
(T-T)

「…そんなに怖がらんとってくれる?俺めっちゃ悪い人みたいやん。」
「え、あ、す、すみません(;_;)」

アイスコーヒーにガムシロップとミルクを入れて、クルクルかきまぜ、ひと口飲んで、彼は私に言った。

「で、何があったん、一体。」
「へっ?」
「俺は壁ギリギリまで寄せて、センタースタンドまで立てとった。100%とはいわへんけど、カバンがひっかかったくらいじゃこけへん。他に何かあったんちゃうん?」

…話、聞いてくれる気ぃあるんや。
結構いい人?
(・・;)
私はバイクをこかすまでのいきさつを話した。

「そうか…まあ、パーキングに入れんとあんなとこに停めてる俺も俺やけど…」

そういって、彼はひと口アイスコーヒーを飲んだ。

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