《MUMEI》

御山さんを、送る、車の中……

助手席は、俺が、座ってた……

御山さん、後ろの席で…

……正直、複雑な、心境………

けど…御山さん…

悪い人じゃないのは、よく知ってる…

俺の顔の傷の話しになったんだけど

喧嘩したって…上手く、言ったんだ…

………

御山さんのアパートの近くまで来たときだった

御山 「菜月、さん」
「今度、時間、いただけませんか?」

「話したい事が…」

菜月 「今なら…いいですよ 」

御山 「…」

菜月 「弟…邪魔ですか?」

御山 「……出来れば…二人っきりで…話したいんですけど…」

菜月 「…」

御山 「菜月さんさえ、良ければ、」
「僕の、家で…」

菜月 「男性の、ひとり暮らしの部屋には、行けません……」

御山 「……」
「悠希くん、僕の家で、待っててもらって、良いかな?」

悠希 「えっ……嫌だなぁ……」
「俺、時間、潰してくるよ…」

菜月 「その、顔で?」

悠希 「……」

菜月 「御山さん、部屋でいいですよ…」

「悠希、車で待ってて」

御山 「ありがとう…菜月さん…」

………

……

なつ姉が、御山さんのアパートに入ってから

30分…

さ、寒い…

エンジンを止めた車の中は、めっちゃ、寒い…

悠希 「…」

おしっこしたいなぁ

さらに、待つ事、…

40分…

まだ、出て来ない…

電話、しようかなぁ…

さらに10分ぐらいして

なつ姉が、出てきた…

御山さんと一緒に

……

御山 「寒かったろ?」
「ごめんね、悠希くん」

「これ、お年玉…」

悠希 「いらないっすよぉ」
御山 「いいから、取っといて…バイト、禁止なんだろ?」

そんな事まで知ってんのかぁ……

悠希 「気を使わないで下さい…」
「父に、怒られますから…」
………

菜月 「帰ろう…」

悠希 「じゃぁ、失礼します…」

………

走り出した、車の中…

無言の、俺達…

………

土手沿いを、走る、bB …
悠希 「…停めて…」

菜月 「悠希……」

悠希 「おしっこ…」

菜月 「あ…うん」


河原で用をたして来たんだ……

菜月 「…降りるって、言い出すのかと、思っちゃった…」

悠希 「…何で?…」

菜月 「……知ってるよね?…付き合ってたの…」

悠希 「…うん…」
「昔の事だよね…」

菜月 「うん……」

………

…なつ姉…車を走らせなかった…

悠希 「また、付き合ってって?」

菜月 「断ったよ…それは……」

悠希 「何してたの?…」

菜月 「…悠希が考えてるような事、してません!」

悠希 「…襲われて、ない?…」

菜月 「あたりまえでしょ……」

「父の知り合いで」
「悠希が待ってるの知ってるんだよ…」

「じゃなきゃ、男の部屋になんか、入らないよ…」

悠希 「昔は、入ったけど?…」

菜月 「…そうよ…」
「彼と、エッチ、してるわよ…」

「彼の部屋で……」

悠希 「…露骨に、言われると…凹むなぁ…」

菜月 「…怒るかと、思った…」

悠希 「…怒る、事じゃないじゃん…」

「…嫉妬は……しちゃう…」
「あれ……」

菜月 「な、泣かないでょ…」

勝手に、涙が出て来たんだ……

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