《MUMEI》
浮かんだ顔 気づいたこと
.


ようやく別荘に着くと、

俺は堪えきれず、昌美の腕を引き寄せ、

深く、深く唇を貪った。



濃厚なバラの香りが、昌美の身体から漂ってくる。


おいで、おいで、と手招くように、

俺の意識をさらっていく…。



舌を絡ませ、ずっと後を引くような、そんなキスを交わしながら、

俺達は服を脱がせ合い、ベッドに倒れ込む。



キメ細かい、滑らかな肌。
ハリのある、大きな胸。

目の前にさらされた、しなやかな肢体に、

俺は溺れていた。



手と唇を使って、彼女の一番繊細な部分を、烈しく攻めると、

響き渡る、悩ましげな喘ぎ声……。



押し寄せてくる快感の波に、彼女が身体をよじらせると、

漂ってくる、濃厚なバラの香り……。



−−−その度に、俺は、



この胸の中の、どこか一点に、

虚しい感情を抱かずにはいられない。





なぜ、そんな風に思うのか。





自分の上に跨がって、髪を振り乱しながら、快楽を求める昌美を見つめ、



脳裏に揺らめく、情景を思い浮かべた。



…………それは、



空と海の間に、ぽっかりと浮かぶような、

空中庭園を思わせる、あの、幻想的な庭で、

汗と埃にまみれた、



響子の、美しい微笑み−−−。



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