《MUMEI》 浮かんだ顔 気づいたこと. ようやく別荘に着くと、 俺は堪えきれず、昌美の腕を引き寄せ、 深く、深く唇を貪った。 濃厚なバラの香りが、昌美の身体から漂ってくる。 おいで、おいで、と手招くように、 俺の意識をさらっていく…。 舌を絡ませ、ずっと後を引くような、そんなキスを交わしながら、 俺達は服を脱がせ合い、ベッドに倒れ込む。 キメ細かい、滑らかな肌。 ハリのある、大きな胸。 目の前にさらされた、しなやかな肢体に、 俺は溺れていた。 手と唇を使って、彼女の一番繊細な部分を、烈しく攻めると、 響き渡る、悩ましげな喘ぎ声……。 押し寄せてくる快感の波に、彼女が身体をよじらせると、 漂ってくる、濃厚なバラの香り……。 −−−その度に、俺は、 この胸の中の、どこか一点に、 虚しい感情を抱かずにはいられない。 なぜ、そんな風に思うのか。 自分の上に跨がって、髪を振り乱しながら、快楽を求める昌美を見つめ、 脳裏に揺らめく、情景を思い浮かべた。 …………それは、 空と海の間に、ぽっかりと浮かぶような、 空中庭園を思わせる、あの、幻想的な庭で、 汗と埃にまみれた、 響子の、美しい微笑み−−−。 . 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |