《MUMEI》
愛奴
「じろー……誓うよ、もう二郎をこんな気持ちにしたくない。
だから、俺は二郎の奴隷になるよ。
二郎の言うこと聞く、俺には二郎が必要なんだ。だから……そばにおいて。」

好きな人と離れるなんて、いやだ。
なによりも二郎を優先したい、誓いのキスを掌にしてやる。


「……変態。

俺は七生にああしてこうしてって言いたいんじゃないんだよ?
ただ……聞いてほしかったんだ、
俺ね、子供が出来たんだ……。」


「こ……こもど……」

どうして、二郎って突然ネジが外れたみたいにボケるんだろうか。
ここは、『おめでとう』と言って喜んでやるべきか?俺、試されているのか?


「子供ね?蜥蜴じゃないんだから……つまり、養子に迎えたい子がいて……保護者になりたいんだけれど。」


「あ、電話のガキ?」

グチャグチャな頭を必死で整頓する。


「そう……、篠さんの子供なんだよ、篠さんね、十日前に事故で亡くなったんだ。篠さんのこと、伝えてから相談したかったのに……」


「篠さんが?」

まさか、篠さんが亡くなったなんて……


「飛行機事故で……篠さん奥さんと駆け落ち同然だったから奥様も亡くしてる篠さんの子供は天涯孤独になってしまったんだよ。」

篠さんは二郎を何かと気にかけてくれてた、恩人である。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫