《MUMEI》

「なんで言わなかったんだって顔してる。」

図星です。


「ごめんな、じろーさま……俺って本当、馬鹿。」

二郎を見ていると周りが見えなくなる。


「知ってるよ。」

そうですね……


「俺……、めっちゃ電話で嫌な奴だったんだけど!
うわ、うわああああ……ごめん!」

思い出すと余計に後悔の波が押し寄せて来る、行き場の無い気持ちを二郎を抱きしめて押し込めた。


「俺さ、七生の言う事ちゃんと聞いたよね?」

散々、虐めてました……。


「罰をください……別れる以外で。」

もう、俺ってば二郎のこと全然愛せてない!


「篠さんの子に会ってくれる?
両親共、亡くしてとても傷付いてて、ショックでまだあまり初対面の人の前で話せないんだけれど……」


「会うに決まってるだろ……じろーの子なら俺の子だし……謝らなきゃ。」

無神経だった俺を謝らなきゃ。

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