《MUMEI》

……俺のせいで篠さんの子供との対面はお預けになった。

二郎はほぼ全裸でコートを羽織って雪の中に飛び出したので風邪をひいたからだ。


「じろー……ほら、うどんで大丈夫?」

唇が青くて、食も細い。


「片付け進んだ?」


「うん、綺麗になってる、部屋も空けたよ。」

こんな時まで、二郎は篠さんの子の部屋の用意を気にかけてる……。


「上出来だ……」

弱った二郎の微笑む姿もまたいじらしい。
二郎に頭撫でられると落ち着く……。


「飲み物、リンゴジュース買ってきたよ。」

元は年上に尽くすタイプだったせいか、なんだか楽しいじゃないか。


「うん、のむ……」

背中のタオルを替えてやる。
倒れないように俺にしな垂れかかるところがまた………………………………………………頭を振って邪念を祓う。


いけない、俺は二郎に傅くんだから。

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