《MUMEI》
拷問
優里は、再び仰向けにされた。
「今度は全身ソフトマッサージだよ」
「ちょっと両足開いて」
男に両足首を掴まれ、グイッと開かれるのは妙な気分だ。
「手貸して」
別の男が両手首を握り、バンザイの形にする。そして、複数の男たちが、慣れた手つきで素早く優里の両手両足をベルトで固定してしまった。
「ちょっと待って、何やってんの?」
慌てる優里を見て、皆が笑う。
「大人の女がこれくらいのことで慌てないの」
「ほどいて」
「大丈夫。ベッドから滑り落ちないために固定してるだけだから」
「ホントに?」
水着で両手両足を拘束されて無抵抗というのは、さすがに緊張する。
しかも十人の男たちに囲まれているのだ。
「では、全身ソフトマッサージを始めます」
男たちは優里の全身にボディソープを泡立て、優しくマッサージしながら洗った。
これはたまらない。
(嘘…気持ちいい!)
悔しいけど気持ちいい。優里は必死にポーカーフェイスを保った。
目を閉じて、口を開けないように唇を結び、横を向く。
「次は、優里チャンの恥ずかしい部分も洗ってあげる」
「え?」優里は目を開けた。
まさかと思って男たちを見ていると、水着の紐をほどこうとしている。
「ちょっと待って、ちょっと待って!」
「待たないよ」
「ダメよ、絶対ダメ」
「取るよ」
まずい。本気で水着を取る気だ。優里は怖い顔をして男たちを睨んだ。
「取ったら警察に言うわよ」
「何言ってるの。自分でスペシャルコース選んだんでしょ?」
優里は一瞬弱気になった。
「あ、ごめんなさい。あたし、内容をよく確かめてなかったから」
「そういうの通ると思う?」
手足をベルトで固定されている身では、あまり強気には出れない。優里は穏やかに話した。
「恥ずかしいから裸だけは許してください。お願いします」
「かわいい!」
「じゃあ口説けばいいんだ?」
「優里チャン裸が見たい」
「見せて」
「ヤです」優里は即答した。
「仕方ない。拷問してOKもらおう」
拷問。優里は耳を疑った。考える間もなく、十人がかりのくすぐりの刑が始まった。
「きゃはははははは、やははは、やめはははははは…」
優里は真っ赤な顔で口を大きく開けて、男たちの手から逃れようと腰をくねらせた。しかし逃れられない。
「やはははははは、あははははは…」
やめる気配がない。優里は何とか声を振り絞った。
「やはは、やめて、やめて」
やめてくれた。
「はあ、はあ、はあ…」
息を弾ませる汗びっしょりの優里がひときわセクシーに映る。
「優里チャン。裸見せて」
「たっぷり洗ってあげるから」
優里は思った。この男たちに大切な体を投げ出してしまったら、困ることをされるのはわかりきっている。
しかし、すでに彼女は、興奮していた。
くすぐり拷問は初体験。普通は怒る場面だが、Sな意地悪に不覚にも興奮してしまった自分を発見し、優里は戸惑っていた。
「十人がかりは卑怯よ」
「そういう生意気言うと今度は10分くすぐり続けるよ」
「わかった、やめて」
男たちが迫る。
「じゃあ、水着取るよ」
「ダメよ」
優里の色っぽい言い方にある種の確信を抱いた彼らは、彼女のブラに手をかけた。
「ダメ、やめて、きゃあ!」
取られてしまった。優里は顔を赤くして目を閉じる。怒ってはいない。
「恥ずかしい…」
大勢の男たちに胸を晒してしまった。優里は唇を噛み、横を向く。
次は下を脱がされる。
「待って、下は許して、下はダメ、嘘!」
取られてしまった。
「恥ずかしい!」
優里は身じろぎした。手で隠せないから、どうにもならない。
「優里チャン、いい体してるじゃん」
「君は凄く魅力的だよ」
「恥ずかしい…」

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