《MUMEI》
ドライブ
菜月 「次、右に曲がって」

悠希 「う、うんォ」

菜月 「…センス、あるよ、悠希」

悠希 「あんまり、話し掛けないでォ」

菜月 「…毎日乗って、なれなさいよ」
「東京は、交通量、多いからね」

悠希 「うんォ」

知らない道は、恐いからって

初心者マークを張った bBで、
高校の近くまで来たんだ

俺がハンドルを握り

なつ姉が助手席

憧れた、状況だったんだけど…

運転だけで、いっぱい、いっぱい…だった…

菜月 「お茶してこうよ」

悠希 「うんォ」

何回か、切り返しして

ファミレスの、車庫に
無事、停めれたときだった
車を降りた、俺達に

マナミ 「悠希くん…」

悠希 「あっ、みんなォ」

クラスメートの女子が4人居たんだ

マナミ 「…おめでとう」

悠希 「ありがとう…」


マナミ 「……」
「受かった人は、いいわねぇ…彼女と、デートだ…」

サキ 「ちょっとぉォマナミォ」

マナミ 「…へぇ〜」
「綺麗な、彼女ね…」

「意外だわ…」

サキ 「止めなよォ」
「すみませんォ」

「行こうォマナミォ」

「悠希くん、またねォ」

悠希 「う、うん…」

菜月 「…友達?」

悠希 「…学校の、女子達…」

菜月 「…姉だって、言えばよかったのに…」

悠希 「彼女だもん…」

菜月 「うん…許す」

悠希 「許すって何ォ」

菜月 「マナミちゃん?だっけ…」

「悠希の事、好きなんだね…」

悠希 「はぁ?…ナイナイ、そんな事…」

「いつも、見下したような言い方してるもん…」

菜月 「彼女も、受けたの?」

悠希 「……今年は、俺だけだって…受かったの…」

菜月 「そう…」

悠希 「なつ姉、おごって」

話題を変えたかったんだ…
菜月 「普通は、彼氏が出すんだよ」

悠希 「…」

意地悪そうな、顔をして
言った、なつ姉だった

………

無事、帰宅…と、思ったんだけど

親父のベンツに、コツン、と、当てちゃったんだぁォ
………

菜月 「下手くそ!」

悠希 「…ゴメンナサイ…」

父 「仕送りから引くからな!」

悠希 「……」

菜月 「油断してるからよ! 」

悠希 「…」

父 「たいした傷じゃないから、まぁ、いいが…」

親父、車、メッチャ大事にしてるんだよな…

悠希 「親父、ごめんなさい」

真面目に、頭を下げた

…大事にしてる物、傷つけられて、気分の良い人は居ないよ…

悠希 「菜月姉さん」
「ごめんなさい」


父 「…bBは?」

菜月 「バンパーがちょっと、色、ハゲちゃったぐらいかな…」

父 「明日、修理、入れなさい」

菜月 「いいわよ…」
「何度かは、ぶつけるでしょ…」

「悠希が上手になったら、直すわ」

父 「そうか…」

母 「ムダな入学金まで、払ったからねぇ…」
「少し、節約しなくちゃねぇ…」

今、言う事かよ…お袋…

父 「まぁ、良い…」

「初心者マーク、外れたら」
「お前が乗れ、ベンツに」

悠希 「ぇえ?!」
「俺、ムリ、」
「学生が乗る、車じゃねーよ!」

父 「舐められるなよ!」
「東京の、金持ち達に!」

「金持ちばっかりだろ…」
「お前の大学は…」

…どうして…そう…
不良みたいなノリなんだよ…親父…

…あんな、ヤクザが乗ってるような、派手なベンツで学校行けねーし…

……

それに、俺、電車で行くつもりだしね……

……

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