《MUMEI》

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母さんは『バラの香り』と聞いて、眉をひそめた。


「バラはあまり好きじゃないのよねぇ…」


香りが強いでしょ、と首を横に振り、拒絶した母さんに、

姉は、コレは大丈夫!と、クスクス笑う。


「グリーンティーが入ってるから爽やかに仕上がるの。マグノリアもブレンドされてるしね。バラっていうと、どうしても『濃厚』とか『ゴージャス』って思われがちだけど、これならナチュラルに使えるよ」


そう言うと彼女はキャップを外して、ボトルを母さんに手渡した。母さんは自分の鼻先に、ボトルのスプレーを近づけて香りを確認すると、途端に、あら!?と素っ頓狂な声をあげた。


「さっぱりしてる!」


「でしょ??」


母さんの反応が嬉しかったのか、姉はさらに説明を続けた。


「きれいな香り立ちだよね。わたし、バラの香水で、コレが一番好きなんだ。気負わずに使えるところがいいよねー」


……そんな感じで、二人で盛り上がっている。


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